北欧神話はゲルマン民族の神話、と前節で書きましたが、正確に言うとゲルマン民族のなかでもノース人に伝わる民族伝承です。
ノース人、文字通り北方からやってきた人々を意味する言葉で、古代スカンジナビアに先住していた民族を表しており、厳密にはスウェーデン人と分けるそうですが、これは日本でも古代縄文人と弥生人を分類するくらい、あるいはそれ以上難しい話になるので割愛しましょう。
ここでは便宜上、ゲルマン民族の根底にある北欧神話、と定義します。
というのも、ゲルマン民族であるドイツにも北欧神話が色濃く残っているからです。
たとえばヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー。
楽劇王と別名を持つほどロマン派歌劇の頂点を極めた作曲家で、19世紀後半のローロッパ文化に多大な影響を及ぼしたドイツ人です。 続きを読む ワーグナーと北欧神話の関係