新しい王となったアーサー

義兄ケイに同行してロンディニウム(現在のロンドンですね)までやってきたアーサーですが、槍試合大会で剣の試合に出場するケイはなんと大切な剣を宿に忘れてきてしまいます。

ケイに頼まれて宿まで剣を取りにきたアーサーですが、すでに宿の主人は槍試合見物(当時の槍試合は地域におけるビッグイベントでした)に出かけてしまい、宿には入れず仕舞。

そこでアーサー、大聖堂前に剣があったことを思い出し、大聖堂前に駆けつけるとあっさりと剣を引き抜いてしまい、ケイに代替品として渡します。 続きを読む 新しい王となったアーサー

剣を抜く時はアーサー若干15歳

アーサー王物語、最初にご紹介するのはご存じ、剣を抜くシーンから。

アーサーはペンドラゴン王が横恋慕して略奪愛となったイグレーヌとの息子。

この辺りは「ブリタニア列王史」と変わりありませんね。

違ってくるのは、ペンドラゴン王が魔法使いマーリンの手によってイグレーヌの夫であるゴルロイス公に化けて密通するところから。

マーリンはペンドラゴン王がゴルロイス公に化けたいという願いを聞く代わりにある要求を突きつけます。 続きを読む 剣を抜く時はアーサー若干15歳

まとめ的存在の「アーサー王の死」

その後のヨーロッパ騎士道物語に大きな影響を与えた「ブリタニア列王史」ですが、これを読んだ限りではアーサー王のエピソードで有名なシーンが出てきません。

固い石に突き刺さっていた剣を抜くシーンもなければ円卓を囲んだ騎士たちの話もなく、聖杯を探しに行く物語もないのです。

じつはこれらの話、「ブリタニア列王史」をベースにして作られたエピソードで、同時多発、あるいは継続、それからスピンオフとして描かれたいくつもの散在している物語なのです。 続きを読む まとめ的存在の「アーサー王の死」

史実が少ないほど創作性は高まる

実在した人物を物語にする場合、史実が多いほど拡大解釈は難しくなります。

逆に、史実に残る記録がわずかであるほど、物語としては創造性を高めることができるわけですね。

その意味で、アーサーは「ブリトン人の歴史」を始め、わずかな記述しか残っていないために伝説を想像によって膨らませることができた人物といえます。

話はそれますが、わずかな史実から創造性を膨らませた日本の物語で秀逸なのが、故・隆慶一郎氏が描いた前田利益の生涯「一夢庵風流記」でしょう。 続きを読む 史実が少ないほど創作性は高まる

歴史書というより創作本として価値あり

現代において歴史書とは認められていない「ブリタニア列王史」を書いたジェフリー・オブ・モンマスの名誉のために付け加えるとするならば、当時において歴史書の資料を手に入れることはとても困難であり、口語伝承が記述に重要だったことを考えれば正確な史記の作成というのは無理な話といえるでしょう。

時代背景を考えれば王政だけでなくキリスト教会の意向も加味されるので脚色は当然の結果とも言えます。 続きを読む 歴史書というより創作本として価値あり

猫とツキと干支の性格

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