まとめ的存在の「アーサー王の死」

その後のヨーロッパ騎士道物語に大きな影響を与えた「ブリタニア列王史」ですが、これを読んだ限りではアーサー王のエピソードで有名なシーンが出てきません。

固い石に突き刺さっていた剣を抜くシーンもなければ円卓を囲んだ騎士たちの話もなく、聖杯を探しに行く物語もないのです。

じつはこれらの話、「ブリタニア列王史」をベースにして作られたエピソードで、同時多発、あるいは継続、それからスピンオフとして描かれたいくつもの散在している物語なのです。

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1150~1155年にかけて詩人ウァースが書き上げた「ブリュ物語」、1165~1190年にかけてフランスの吟遊詩人クレティアン・ド・トロアが書いた「荷車の騎士ランスロ」、流布本(庶民のための本)と騎士道本(宮廷本)の両方で広まったトリスタンとイゾルデの話、作者不詳の「ガウェイン卿と緑の騎士」などがその代表例ですが、これら以外にもアーサー王に関する書物は多くあります。

そして、これら散らばっていたアーサー王のエピソードをまとめたのがウエーずる人の騎士トマス・マロリーによる「アーサー王の死」です。

トマス・マロリーはこの作品を1450年代より書き始め、最後まで書き終えた時には1470年になっていたそうです。

全8話構成となっていた「アーサー王の死」は1485年に出版され、以後、一般的なアーサー王伝説のエピソードはこの本が元になっています。

と、いうわけで以後、アーサー王伝説のエピソードを紹介しますが、一応、この「アーサー王の死」を基調とし、出典はそれ以外でもまとめの本という扱いだと思ってくださいね。

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