史実が少ないほど創作性は高まる

実在した人物を物語にする場合、史実が多いほど拡大解釈は難しくなります。

逆に、史実に残る記録がわずかであるほど、物語としては創造性を高めることができるわけですね。

その意味で、アーサーは「ブリトン人の歴史」を始め、わずかな記述しか残っていないために伝説を想像によって膨らませることができた人物といえます。

話はそれますが、わずかな史実から創造性を膨らませた日本の物語で秀逸なのが、故・隆慶一郎氏が描いた前田利益の生涯「一夢庵風流記」でしょう。

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この小説の名前は知らなくても、コミック「北斗の拳」を描いた原哲夫による「花の慶次~雲のかなたに~」という題名を聞けばピンとくる人も多いはず。

「花の慶次~雲のかなたに~」の原作が「一夢庵風流記」ですが、個性豊かな武将が群雄割拠する戦国時代において、わずかな史実しかない前田利益を題材に、傾奇者という自由闊達で男気のある主人公に仕立て上げ、後世に名を残した武将を脇役に据えるという大胆な発想に面白さがあります。

とくに傾奇者を見たいと所望する豊臣秀吉に前田利益が謁見するシーンは前半の大きなハイライト。

ヨーロッパの騎士物語も面白いですが、日本の創造性たっぷりの傾奇者も負けていません。

お暇な時には一読をお勧めしたい物語です。

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