緊張したら成功を思い浮かべる

緊張、つまりアドレナリンが分泌している状態は本能的にfight or flightの状態であり、flight、逃走部分を減少させることで緊張を活用することができます。

ただし、その逃走部分の減少方法は各々で見つけるしかありません。

もちろん、誰でも一度は試して見る価値がある方法は存在します。

それは緊張が始まったら、成功している自分の姿を思い浮かべることです。

緊張の対象がスポーツの試合だったら勝った時の喜び、プレゼンだったら終了後の拍手などを思い浮かべるだけで、過去に味わった報酬系が刺激され、ドーパミンが分泌されて快の感情を与えてくれます。 続きを読む 緊張したら成功を思い浮かべる

学習できない人はドーパミン分泌が少ない?

ドーパミンは快の感情を与える因子で、このドーパミン分泌によって人の行動は大きく左右されます。

ドーパミンが報酬系と呼ばれる所以ですが、快の感情はドーパミンが持つ機能のひとつに過ぎません。

学習しないヤツ、なんてよく言われますが、これは同じ失敗を何度もする人のことですね。

学習しない、ということは同じことを繰り返す、つまりいつでも出会った事象に対して初めての時と同じ行動を起こすということでもあります。

これはドーパミンが分泌していないばかりか神経回路のループが活発化していない証拠。 続きを読む 学習できない人はドーパミン分泌が少ない?

ループで蓄積される経験情報

ドーパミンは快の感情を与える神経伝達物質でもありますが、それらはドーパミン本来の機能、学習を活発化させることに含まれています。

もう少し神経回路のループについて説明しましょう。

大脳基底核は文字通り脳の最下部にあり、大脳皮質や視床、脳幹などの神経が集まっている核の部分で運動調節を始め、認知、感情、動機、学習など人として行動する上でのさまざまな機能に関わっています。

大脳皮質には各部位があり、とくにドーパミンと深く関わっているのは前頭前野と帯状回です。

前頭前野は人としてもっとも発達した脳の部分で、もっとも遅く発達するところでもあります。 続きを読む ループで蓄積される経験情報

効果的な練習で快の感情を得る

ドーパミンは人間の行動を司る脳の部分に刺激を与え、それをループさせることによって脳は情報を蓄積していきます。

ドーパミンが分泌されるほどループは活性化されるので行動を決める情報量は多くなっていくわけです。

これを日常の生活に利用しない手はありません。

もう一度スポーツに戻りましょう。

緊張はアドレナリン分泌によって起こるもので、逃走をドーパミン効果で減少させることにより緊張を効果的に使う方法を説明しましたが、これは一種のセルフマインドコントロール。 続きを読む 効果的な練習で快の感情を得る

ドーパミン分泌は手近な目標から

ドーパミン分泌による行動の効果はけっしてスポーツに限ったことではありません。

たとえば勉強。

苦手な科目があって毎回テストでは50点しか取れません。

親や先生からはもっと勉強しろ、と言われてもいきなり100点を取ることはハードルが高すぎてやる気も起きないでしょう。

勉強に限ったことではありませんが、義務感で行うことにアドレナリンは分泌されません。

100点満点で50点でも、生命維持に問題はまったくないので当然、アドレナリンが出るわけもなく、集中力を高めることも闘争をコントロールすることもできず、仮にアドレナリンが出たとしたらそれこそ逃走が勝ってしまいます。 続きを読む ドーパミン分泌は手近な目標から

褒めて育てるの原理とは?

褒めて育てる。

この言葉もドーパミンとアドレナリンの仕組みを考えると説得力のある言葉と受け止められます。

子供の教育を考える時、この2つのことは絶対に外せません。

ちなみに幼少期の脳における前頭前野を含む前頭連合野はほとんどチンパンジーと同じで、この時期の神経回路ループでは愛情や怒りなど生物学的な感情を学んでいます。

この幼少期に親がたっぷり愛情を注ぐと、それが帯状回や扁桃体に情報として蓄積され、やがて前頭前野の思考によって他人にやさしい慈愛溢れる人になるということですね。 続きを読む 褒めて育てるの原理とは?

子供を叱る時は逃げ道を用意する

褒めて育てることがドーパミンによって効果的であることは分かりました。

しかし子供は社会的な善し悪しを経験上、理解しているわけではありません。

もちろん、大人だって社会的な善し悪しは理解できていませんが、それでも経験上、子供よりは理解していなければなりませんし、時には子供が社会的に悪いことをしたら叱らなければいけません。

そこで考えるのがアドレナリン効果。

子供は叱られると逃げ出したくなります。

アドレナリンによるflight、逃走部分ですね。 続きを読む 子供を叱る時は逃げ道を用意する

快の感情のループが学習能力を高める

ドーパミン分泌を利用した行動の効率化はスポーツや勉強、子供の教育だけではなく、さまざまな行動に応用できます。

たとえば専業主婦の家事にも十分、役立たせることができますね。

汚れた部屋の掃除、なかなか手をつけることができない人は時間を限定して、その時間内に掃除を完了したら自分にご褒美を与える(もちろん家計の許す範囲内で、ということですが)というのはどうでしょう。

このドーパミン、なかなか優しいところもあって物事を始める前に快の感情を再現してくれることもあります。

ただし、ご褒美を自分に与えることの想定は快の感情を再現するだけであって、実際の快の感情ではなく感情の記憶ですね。 続きを読む 快の感情のループが学習能力を高める

ドーパミン分泌が増える弊害

ドーパミン分泌が盛んになると大脳基底核や大脳皮質の活発化が起こり、神経回路のループに伴って情報量の蓄積が増えます。

では、ドーパミンが増えるほど脳は活発化するのか、という疑問が生じますね。

生物学的であれ社会的であれ、目的の欲求を達成すると快の感情が与えられ、ドーパミンが分泌します。

ドーパミンニューロン(神経細胞)の軸索先端にある突起から発射されたドーパミンはドーパミンニューロンが関与している脳の各部位にあるドーパミン受容体に付着することで情報が蓄積されます。

つまり、いくらドーパミンが分泌されてもドーパミン受容体の数が少なければドーパミンは無駄撃ちになってしまうわけですね。 続きを読む ドーパミン分泌が増える弊害

怖いドーパミン分泌の減少

ドーパミン分泌とドーパミン受容体の互いが増強しあう関係は依存症を生み出すこともありますが、ほとんどの場合、その依存症は社会的に大きな影響を与えるものではなく、人格形成の一貫に過ぎない程度で、習慣とのボーダーラインも曖昧です。

快の感情がループしていると部屋の掃除がいつもの時間にできないと不快になるとか、毎日勉強しているから風邪を引いていても机に向かってしまうとか、毎日ゴルフの練習をしているから真冬の寒い日でも練習場に出かけるとか、そういう人、いっぱいいますよね?

これらはすべて依存症のうち。

そう考えると、誰でも依存症って持っているものなんですね。 続きを読む 怖いドーパミン分泌の減少

行動への動機付けが気迫になる病気

高齢者の無気力にはドーパミン不足による動機付けの欠乏が指摘されていますが、ドーパミン分泌が完全になくなるともっと深刻な病気、パーキンソン病になります。

この病気はまだ世界で発症の原因も分からず効果的な治療が見つかっていないことから日本では難病に指定されており、身体的には手足、顔、上肢全体といった部位に震えが見られ、表情が乏しくなって動作が緩慢になります。

精神的には感情が乏しくなり、快感喪失や不安、幻視、認知障害を併用します。

中年以降、高齢になるにしたがって発症する病気ですが、進行が緩やかなため自覚症状の少ないことが特徴のひとつ。 続きを読む 行動への動機付けが気迫になる病気

まったく効果のないアドレナリン・ダイエット

ネットで時々見かける怖い話(といってもホラーの類ではありません)。

アドレナリン・ダイエットという方法の推奨もそのひとつです。

理論としては、アドレナリンが分泌すると体は緊張状態になり空腹感を感じなくなる、筋肉の血管が膨張して血流がよくなるので脂質のエネルギーを溶かして血中のブドウ糖を上げる、つまり食事をしなくても平気だし、脂質を溶かすから痩せる、だそうです。

アドレナリンを分泌させるためには体にストレスを与えること、だから運動をしてアドレナリンを分泌させます、そのためにはストレッチを1分もすれば十分、などという理屈。 続きを読む まったく効果のないアドレナリン・ダイエット

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