筒井康隆ワールド全開の「パプリカ」

筒井康隆氏の「パプリカ」は1993年に出版されたサイコ・SF小説です。

パプリカとは、精神医学研究所に努める優秀なPT(サイコセラピー)治療者、千葉敦子のもうひとつの顔となっている夢探偵の愛称です。

小説では西進医学研究所の派閥争いから、千葉敦子と同僚の時田浩作が開発した他人と夢を共用できるデバイス、DCミニが盗まれ、それを奪い返すために夢の中でパプリカが活躍するという物語。

エンターテイメントのように思われますが、随所に筒井氏のブラッキーな部分と不条理な部分が交差しており、読み進むうちに得体の知れない不安感が襲ってきます。 続きを読む 筒井康隆ワールド全開の「パプリカ」

なぜ夢を見るのか?というメカニズムの前に

夢はすべて記憶から生まれます。

人に言えないような恥ずかしい内容でも、荒唐無稽な物語でも、それらを自分で体験していなくても何らかの記憶(小説や映画、人から聞いた話など)が無意識で組み合わされ、メッセージとなって表れるのです。

もちろん、そのメッセージには重要なものもあれば、まったく無価値なもの(お金が欲しい、とか好きな子とキスしたい、とか、そんな類)もあります。

しかし、これら無意識からのメッセージがなぜ構築されるのか?さらに言えば夢をなぜ見るのか?それは現在でも解明されていません。

フロイトやユングの夢分析、夢解釈についても意識と無意識については物理的な立証はなく、単なる理論に過ぎません。 続きを読む なぜ夢を見るのか?というメカニズムの前に

クスリでは治らない精神的な病気も回復へ

前項では夢分析の簡単な例を上げましたが、実際はこれほど簡単なことではありません。

とくにユングの精神分析学はコミュニケーションによって夢の内容を広げていきながら無意識のメッセージを探る拡充法を用いるため、問題の収束までは慎重かつ時間がかかります。

しかし結末が見えてくるに従い、本人の気がつかないところの原因が分かってきて、治療がうまくいった際は心の中のモヤがすっかり晴れた気分になることもあります。

また悩みを意識できない場合の治療にも有効的です。 続きを読む クスリでは治らない精神的な病気も回復へ

夢から田中さんを探りだす

フロイトとユングの夢分析、あるいは夢解釈の方法論は違っていても無意識のメッセージを探り当てて精神的な治療に当てるという意味では変わりありません。

夢分析の簡単な例を上げてみましょう。

ある日を境に、毎日、同じ郵便配達が手紙を届けに来るけれど、その手紙の中身は白紙だったりまったくの意味不明の文章だったり、という夢を見るようになったとします。

時には驚くような内容が書かれている時もありますが、起きた時には手紙の配達だけを覚えていて内容はすっかり忘れてしまっているという状況が続いたことによって、寝不足が続き、ストレスが溜まったために夢分析を受けたとします。 続きを読む 夢から田中さんを探りだす

無意識からのメッセージを読み取る

フロイトの精神分析学は医学的なので分かりやすい部分もあるのですが、ユングの分析心理学は理解するという意味でやや複雑になります。

フロイトの方法論があくまで治療者が患者の無意識を探ることに対し、ユングの方法論は治療される側と治療する側がコミュニケーションを取りながら、夢の中に現れる無意識(潜在意識ではありません)のメッセージを読み取ることに重点が置かれています。

どちらも無意識から探るという方法は同じですが、そこに現れるキーワードの解釈が大きく異なっていることが両者の特徴でしょう。

無意識からのメッセージは本人が気がつかないことが多いため、第三者の介入が必要になってくるわけですね。 続きを読む 無意識からのメッセージを読み取る

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