専横はつつしむべきだ

「専横」とはどういうことであろうか?これは「もっぱら横において通ずる」という意味である。いいかえれば、縦に通ずることを故意に怠り、上部に計ることなく、自分の判断で横にのみ動くということである。

このようなタイプの人間は、組織の中に入れば、殆んどの場合失脚する。殆んどといったのは、天才的有能者ならば、そこから生ずる利益性のために、上部は我慢して目をつぶる場合もある、という意味である。しかし、多くの場合、このような天才はそういるものではない。そこで凡人は、自分自身の力を過信して、結果失脚してしまう。

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昔、中国のある王様が、兵法の大家、孫子に向って「女でも強い軍隊になれるか?」と尋ねた。孫子は「なれる」と答えた。そこで王様は、後宮の美女たちを貸すから、それを軍隊として動かしてみよ、といった。

すると孫子は「よろしうございますが、それには、私がどんな命令をくだし、またどのような処置をとっても、決して私に逆らわず、また私をお怒りにならないというお約束が必要です」といい、王はそれに同意した。そこで孫子は、王の一番の愛妾を一軍の隊長とし、美女数百人を調練しようとした。ところが、この愛妾は傍らの美女たちと、げらげら笑っているばかりで何もしなかった。

すると孫子は決然として、この愛妾に斬首を命じ、その場で首を斬り落させた。ここで美女群のすべては、粛然と統率され、武器を持って進退すること、一糸の乱れもなかったという。思うに、この愛妾は王の愛寵を頼み、すなわち自分の力を過信して、左右の仲間たちと意を通ずるばかりで、上部つまり孫子の意を自分に通じさせなかったことにより、身をほろぼしたものであろう。これがつまり「専横」である。

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