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厄年でも最高の歳を迎えた例

厄年っていうと何か悪いことが起きるんじゃないか、と考えがちで、毎年のように起きている悪いことも厄年に起きるとそれが特別の意味を持つと思ってしまう人もいるでしょう。

しかし厄年に良いことばかり起きている人もいるのです。

たとえば笑点の司会でお馴染みの春風亭昇太師匠。

一門の春風亭柳昇師匠に入門したのが男の最初の厄年となる満23歳(数えで25歳)でしたが、柳昇師匠がテレビを活動の舞台にすることが多かったことから、入門後、すぐにテレビ出演を許可され、当時はバブル絶頂期だったために仕事が次々に舞い込んだ、といいます。 続きを読む 厄年でも最高の歳を迎えた例

蓑がないから雨で着物が濡れる

現代に残る江戸時代の駄洒落、お次はドラ息子です。

怠惰で道楽好き、放蕩を続ける息子のことですが、これは金を使い果たす、つまり「金を尽く」を「鐘を突く」に引っ掛けて用いられるようになった言葉です。

江戸時代の遊郭、吉原では軒先に銅鑼をぶら下げておき、客が入ると景気づけで銅鑼をじゃんじゃんと鳴らしていました。

もちろんお寺には釣り鐘もありましたが、やはり放蕩息子には吉原の銅鑼の方がぴったりくることから「ドラ息子」になったわけです。

無実の罪を押し付けられる時「濡れ衣を着せられる」と言いますが、これも江戸時代の駄洒落、ダブルミーニングからきています。 続きを読む 蓑がないから雨で着物が濡れる

「ひ」を「し」と発音する江戸っ子

江戸時代の語呂合わせによるダブルミーニング、駄洒落の類は厄年だけでなく日常的な会話の中に取り入れられており、現代にも継承されているものがいくつもあります。

ここでは余談としてちょっと紹介しましょう。

たとえば物が壊れたり使えなくなったりした時、「オシャカになる」と言います。

このオシャカはご推察のようにお釈迦様のこと。

江戸時代の鍛冶屋が失敗作にこの言葉を用いました。

鋳物を作る時は当然、火を使いますが、この火が強いと鋳物は割れてしまいます。 続きを読む 「ひ」を「し」と発音する江戸っ子

燕石雑志と南総里見八犬伝は同じ作家

前項で登場した「燕石雑志(えんせきざっし)」の著者は曲亭馬琴(きょくていばきん)という作家で、刊行したのは和漢三才図会よりも100年遅い文化8年(1811)です。

曲亭馬琴と聞いても分からない人は多いでしょうが、「南総里見八犬伝」の作者と聞けば思い当たる人もいるはず。

室町時代後期を舞台にした長編伝奇小説で、安房国里見家の伏姫と神犬八房の因縁によって結ばれた八犬士の物語は現在で言うところのSF物語で、冒険的アニメの源流にもなっている活劇です。

曲亭馬琴は 燕石雑志を刊行後、48歳から75歳に至るまでの後半生を費やし、その全体は98巻106冊から成立している大長編です。 続きを読む 燕石雑志と南総里見八犬伝は同じ作家

厄年に説得力をつけた陰陽説

江戸時代、厄年に関するダブルミーニングをつけたのは 田宮仲宣だけではありません。

随筆家、林自見の「雑説嚢話(ざっせつのうわ)」には「俗に女は33を厄とする。女は産を大厄とすれば、33の産の声を重ねるが故、厄年とする」と書いています。

また考証随筆として有名な「燕石雑志(えんせきざっし)」になるとダブルミーニングだけでなく、その上に陰陽を重ねるという説得力を加えています。

たとえば「42歳は4も2も陰数であり、読んで死となることから男性はもっとも恐れ、33は陽数が重なり、事の敗続するのを散々といい、さんざんと同訓であるから女性はもっとも恐れる」との記述が見られます。 続きを読む 厄年に説得力をつけた陰陽説