帰納という確率の推論方法

ジンクスと経験則が前後即因果の誤謬であるはずなのに、なぜ法則として一般的に定着しているかというと、そこには帰納という推論方法があるから、と前節で説明しました。

難しい字面が並んでいますね。

帰納の対義語は演繹(えんえき)で、こちらも推論方法のひとつです。

ちょっと簡単に説明しましょうね。

人であるソクラテスは死んだ、人であるアリストテレスも死んだ、だから人は全て死ぬ。

この推論方法が帰納。 続きを読む 帰納という確率の推論方法

ジンクスには前後即因果の誤謬あり

では、話を「マーフィーの法則」に戻しましょう。

その前に、これまでジンクスと経験則を並列に書いてきましたが、これ、どちらも同じものと考えて構いません。

どちらも前後即因果の誤謬を踏まえて成り立っているものですから。

誤謬(ごびゅう)とは論証において明らかな瑕疵(かし:一般的には常識と思われている部分が欠損していること)があり、その論証が妥当とはいえないという意味ですね。

前後即因果とは前に起きた事象が次に起きた事象の原因となった、という考え方。 続きを読む ジンクスには前後即因果の誤謬あり

最低の映画を選ぶゴールデンラズベリー賞

ユーモアとウィットとアイロニーがたっぷり含まれたイグノーベル賞では、2003年にもニック・T・スパークの研究「あなたがマーフィーの法則について知っているすべてが間違っている理由」にも賞を与えています。

イグノーベル賞、かなり「マーフィーの法則」がお好きのようですね。

経験則やジンクスから少し離れた余談になりますが、このイグノーベル賞に似た賞はいくつもあり、そのなかで、あえて有名な賞を選ぶとしたらアメリカで「最低」の映画を選ぶゴールデンラズベリー賞でしょう。

もちろん、箸にも棒にもかからない本当の最低映画を選ぶのではなく、本格的な演技派俳優や優れた作品を送り出していた監督が、時として「どうしようもない作品」に出演したり製作してしまったりした時。 続きを読む 最低の映画を選ぶゴールデンラズベリー賞

アイロニーを込めて授与するイグノーベル賞

「マーフィーの法則」は知的産業従事者にとって魅力的な経験則なので、ロバート・マシューズ科学者のようにユーモアのある研究材料にもなっています。

ところでロバート・マシューズが受賞したイグノーベル賞について、少しご紹介しましょう。

ノーベル賞はダイナマイトを発明して巨万の冨を築いたアルフレッド・ノーベルの遺言によって創立された賞ですが、イグノーベル賞を企画運営しているのはアメリカのサイエンス・ユーモア雑誌である「風変わりな研究の年報」で、共同スポンサーにハーバード・ラドクリフSF協会やハーバード・コンピューター協会などが名を連ねています。

平和賞や物理学賞など10の部門があり、それぞれの賞を個人やグループに授与しますが、けっしてロバート・マシューズのように笑わせるだけでなく、「そして考えさせてくれる研究」にも授与していることが特徴です。 続きを読む アイロニーを込めて授与するイグノーベル賞

バター面を上にして着地させるためには?

「マーフィーの法則」は知的ウィットに溢れており、その経験則は学生や学者がユーモアの研究対象として扱うことがあります。

バター猫のパラドックスもそのひとつですがアストン大学のロバート・マシューズという科学者は同じくバターを塗ったパンの落下をテーマとして、「トーストの転落 マーフィーの法則と基本的定数」という論文を発表。

通常のテーブルを使用している場合、バター面が下になって落下することを証明、さらにバターを塗った面が上になって着地させるためには高さ3m以上のテーブルが必用であるという結論を導いています。

すごくバカバカしいことに労力を割く科学者って素敵ですよね。 続きを読む バター面を上にして着地させるためには?

猫とツキと干支の性格

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