説得において、正義を説いてはならない

人は欠点を指摘され、それに気づいて、自らのそれをあらためることは少ない。人が自らの欠点を変えようとするのは、それによって、何らかの利益を得るということを納得した場合に限る。

利益には、前述したように、物質的なものもあるが、ツキだとか、人間的魅力のように形なきものもある。人を説得する時には、その得られるべき利益について、よく説くことから始めるべきだ。

間違っても、正義や道徳の立場から、人間はかくあるべきだ、などと主張してはならない。そのような説き方をすれば、十中八九、相手は不快な感情の波にのまれてしまい、もうこちらの話を聞くまいと、耳をふさいでしまうであろう。

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