社会的情勢の不安が生み出す迷信

ドイツでは「クリスマスに黒猫の夢を見たら翌年、重い病気にかかる」、イタリアでは「黒猫が病に伏せる人のベッドで横になったら絶対にその病人は死ぬ」などの不吉な迷信があります。

14世紀、中世ヨーロッパでは黒死病が流行り、全ヨーロッパの1/3から2/3がペストにかかって亡くなったと言われています。

黒死病の難を逃れた人々は社会的不安に襲われましたが、その不安解消の格好の餌食となったのが魔女狩り。

魔女という存在そのものが迷信(あくまでも呪術師としての魔女であり、現実的に「魔女」と呼ぶに相応しい女性は除くとして)なのに、それを当時は合理的な根拠がないにも関わらず信じきった人たちがいたわけですね。

無実な女性だけでなく、黒猫も一緒に処刑対象となりました。

黒猫は夜目が効くことから闇に活動する魔女のパートナーと思われていたわけですね。

この魔女狩りによって黒猫まで大量絶滅、ネズミを取る猫がいなくなったことによって黒死病が流行した、という説があります。

確かに魔女狩りは12世紀から始まっているので黒死病の前から黒猫がいなくなっていることは間違いありませんが、黒猫以外にも猫にはたくさんの種類がいますし、現在では当時の黒死病研究も進んでペストが流行したルートも解明されつつあります。

したがって黒死病と魔女狩りを結びつけるのはやや難がある説というのが定評です。

関連記事(一部広告含む):