運命を変えることもできるポジティブな方法論

江戸時代の悲劇の少女、八百屋お七が仮に丙午の女だったとしても、恋仲の庄之助が8歳年上だったら悲劇は起こらなかったかもしれません。

8歳年上だと戊戌となり、戊は土の陽干、戌も土で比和となり、丙午とは火生土となって相手を生み出していく陽の関係になれたはずです。

これこそ、陰陽五行説の優れた点ですね。

自分に定められた気(行)を変えることはできなくても、相関関係を選ぶことによって自分の運命をどのようにでも変えられることができる、それこそ陰陽五行説の要です。

たとえ相手との相性が相剋の関係であっても、陰陽五行説における十干十二支には方位と時間があり、そこに関係を改善する相生や比和、相侮、相乗があります。 続きを読む 運命を変えることもできるポジティブな方法論

お七伝承に欠けている重要な謎

井原西鶴によって恋のために放火した悲劇の少女となり、近世江都著聞集で気性が激しく夫を短命にさせる丙午(ひのえうま)の女にさせられてしまった八百屋お七ですが、じつは火あぶりの処刑から逆算すると1666年生まれではなく、1668年生まれだったのではないか、という説があります。

そうすると丙午ではなくその2年後、戊申(つちのえさる)生まれとなり、火の象徴、さらに陽の干はどこにもないことになってしまいます。

そこで疑問に思うのが恋仲と言われた庄之助。

井原西鶴の「恋草からげし八百屋物語」では吉三郎の名前ですね。

この男の生年月日は明らかにされていません。

陰陽五行説における干支は二元論であり、相互作用によって結果が生じます。 続きを読む お七伝承に欠けている重要な謎

八百屋お七と丙午の女 PART-2

井原西鶴の脚色によって後世に語られるまでになった悲劇の娘、恋人に会いたい一心で放火し、火あぶりの刑に処せられた八百屋のお七という少女、生年月日は定かでないのに、なぜか1666年生まれ、と決めつけられてしまいました。

この1666年、丙午(ひのえうま)の年となっています。

十干で丙(ひのえ)は文字通り、火の兄で陽干、十二支で午は南の方角を指し、夏の太陽や炎が燃え上がる火の陽支の表現を持っています。

火の陽が重なっているだけに、陰陽五行説では比和(同じ行が重なると良い方向にも悪い方向にも加速する)となり、この年に生まれたから八百屋お七は放火という大罪を犯した、という俗説が生まれてしまいました。

この俗説、笑い事ではなく、その後の日本で丙午に生まれた女性は気性が強く夫の命まで縮めるという迷信にまで広がっていきます。 続きを読む 八百屋お七と丙午の女 PART-2

八百屋お七と丙午の女 PART-1

陰陽道から生まれた日本独自の風習は鬼門以外にもあります。

丙午(ひのえうま)の女。

これ、聞いたことありますか?

元になったのは江戸時代、八百屋の娘であるお七の物語です。

お七は江戸を襲った天和の大火に巻き込まれ、家を失って家族と一緒に正仙院という寺で避難生活を送ります。

このお寺にいた小姓生田庄之助と恋仲に落ちるお七、やがて店が立て直されて寺を引き取るものの、庄之助への恋心は募るばかり。 続きを読む 八百屋お七と丙午の女 PART-1

黒澤映画に登場する鬼門の人物

日本の陰陽道が生み出した鬼門は北東の艮(うしとら)方向ですが、この方向を物語に登場させた有名な映画がありました。

黒澤明監督のもっとも脂が乗っていた時代の作品、「用心棒」です。

からっ風の吹く寂れた上州の宿場町に、桑畑三十郎と名乗る浪人がふらりと現れます。

その浪人が宿場の居酒屋主人、権爺から聞いた話によると、ふたつのヤクザ組織が対立して利権争いをしているため、宿場はすっかり寂れたとのこと。

そこで浪人、両方の組織に自分を用心棒として巧みに売り込み、やがて2つの組織を壊滅させるという痛快時代劇でした。 続きを読む 黒澤映画に登場する鬼門の人物

猫とツキと干支の性格

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