なぜ「当選」ではなく「当せん」と書くの?

ところで、これまで「当せん」とか「抽せん」と書いていたことに気がついた人もいるでしょう。

けっして漢字を知らないわけではなく、また誤記でもありません。

なぜ「当選」とか「抽選」と表記しないのかというと、「せん」の字は富籤(とみくじ)でも分かるように「籤」が正解。

この漢字、「くじ」だけでなく「せん」とも読みます。

したがって漢字表記するのであれば「当籤」「抽籤」と書きます。

つまり「当たりを選ぶ」のではなく「くじにあたる」、「抽出を選ぶ」のではなく「くじを抽出する」という意味が正解です。

なぜ「抽選」とか「当選」の漢字が使われているのかというと「籤」の漢字が当用漢字に入らなかったため、新聞協会が「同音の漢字による書きかえ」と定めたからです。

ただし国語審議会の「同音の漢字による書きかえ」には入っていないので当て字のようなものですね。

法令では現在も「当せん」が使われています。

その証拠に宝くじ公式サイトではすべて「当せん」「抽せん」の表記となっています。

疑り深い人はぜひ公式サイトにジャンプして確かめてください。

なお、賞金付きクジの購入は現在でも賭博の一種で、これら一般を差す普通名詞は「宝くじ」ではなく「冨くじ」であり、宝くじも富くじと表記するのが正式です。

とはいえ、すでに宝くじは既得の言葉なので、このコラムでは堅苦しいことは言わず「宝くじ」「当せん」「抽せん」で統一しますね。

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