ジンクスには前後即因果の誤謬あり

では、話を「マーフィーの法則」に戻しましょう。

その前に、これまでジンクスと経験則を並列に書いてきましたが、これ、どちらも同じものと考えて構いません。

どちらも前後即因果の誤謬を踏まえて成り立っているものですから。

誤謬(ごびゅう)とは論証において明らかな瑕疵(かし:一般的には常識と思われている部分が欠損していること)があり、その論証が妥当とはいえないという意味ですね。

前後即因果とは前に起きた事象が次に起きた事象の原因となった、という考え方。

つまり前後即因果の誤謬は前に起きた事象が次に起きた事象の原因とするには論証として妥当ではない、という意味になります。

ジンクスのほとんどはこれ。

「黒猫をまたぐと不吉なことが起きる」の場合、前に起きた事象は「黒猫をまたぐ」であり、次に起きた、あるいは起きる事象は「不吉なことが起きる」です。

「黒猫をまたぐ」という事象と「不吉なことが起きる」という事象の間には因果関係、相関関係がまったく成り立っておらず、論証としては誤った法則になるということですが、ここで経験が相関関係と因果関係を作ってしまいます。

帰納という推論方法ですね。

ちょっと難しい話が続きますが、これらも「マーフィーの法則」を楽しむためのエッセンスなので、もうしばらくお付き合いを。

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