「言葉の力と名言集」カテゴリーアーカイブ

未来予測の寓話!大人が読む寓話の教訓

前項で星新一の初期作品「おーい でてこーい」を紹介しました。

すでに寓話を超えて現実の世界となってしまったことが大変、残念です。

ちなみに福島県が原発の誘致を始めたのは1960年ですから、それより2年も前に本作が執筆されていたことに大きな驚きがあります。

星新一の父、星一(ほしはじめ)氏が福島県いわき市出身であることは、何かの縁があったのでしょうか。

こうなると寓話というより未来予測ですね。 続きを読む 未来予測の寓話!大人が読む寓話の教訓

現代に即した形で誰でも読めた星新一の寓話!大人が読む寓話の教訓

1997年に亡くなったSFショートストーリー作家、星新一の作品は現在でも寓意の込められた作品として十分に通用する実力を持っていますが、それ以上に素晴らしいのは、星新一の作品はつねに本人によって改変が加えられて時代に即し、小説家が使いたがる難しい漢字を排除して当用漢字を使い、登場人物を少なくして固有の名前をほとんど与えなかったこと。

つまり、本を手にした誰もが物語を楽しみ、それでいて寓意を感じ取れるところにあります。 続きを読む 現代に即した形で誰でも読めた星新一の寓話!大人が読む寓話の教訓

ホテル・カリフォルニアに込められた寓意①!大人が読む寓話の教訓

2015年はベトナム戦争終結からちょうど30年目に当たります。

1975年当時、それまで西側諸国の資本主義社会こそ世界の中心であり、共産主義は人類を滅ぼすと信じていたアメリカはアジアの片隅の小さなベトナムに敗戦(もちろんアメリカは敗戦とは言わず撤退と言っています)、長く続いた東西冷戦とベトナム従軍は社会に価値観の崩壊を招き、1970年代にはディストピア世界観の蔓延と新たな寓話が至る分野で生まれました。 続きを読む ホテル・カリフォルニアに込められた寓意①!大人が読む寓話の教訓

ホテル・カリフォルニアに込められた寓意②!大人が読む寓話の教訓

前項では1970年代から今にも残るロックの名曲、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」が寓話であることを紹介しました。

本項では当時、難解すぎて理解不能と言われた歌詞について説明しましょう。

この曲が発売されて以降、歌詞に対して憶測と解釈がイーグルス以外のところで飛び交い、現在は一定の解釈、寓意が成立しています。

歌詞全編に暗喩と寓意が含まれているので、ここではとくに有名な一節だけを紹介しますね。

ホテルに迷い込み、まだ退廃の気分に浸っている時、ホテルのキャプテンに(私の)ワインを持ってきてくれ、と頼みます。 続きを読む ホテル・カリフォルニアに込められた寓意②!大人が読む寓話の教訓

ホテル・カリフォルニアに込められた寓意③!大人が読む寓話の教訓

1970年代を代表するロックの名曲、ホテル・カリフォルニアの暗喩について、続けます。

さて、もっとも有名なフレーズ、“Please bring me my wine”の一節がロックの終焉であることを説明しましたが、それが結末につながるわけですね。

Last thing I remember, I was running for the door,

I had to find the passage back to the place I was before,

最後に覚えているのはドアに向かって走っていたこと、自分が前にいた場所に戻るための道を探さなければならなかった、という歌詞があります。 続きを読む ホテル・カリフォルニアに込められた寓意③!大人が読む寓話の教訓

かもめのジョナサンが求めた生き方!大人が読む寓話の教訓

価値観や固定観念が崩れた70年代は小説でも寓話がヒットしました。

そのもっとも顕著な例が「かもめのジョナサン」です。

アメリカでは1970年に出版されましたが、最初はほとんど注目されなかったものの口コミで広がり、出版の2年後、1972年にはアメリカのベストセラー・ランキングで38週の間に渡って第1位を保ち、1974年には「風と共に去りぬ」を抜いて1500万部を販売、日本でも1974年6月に出版され、現在まで270万部を出版しています。 続きを読む かもめのジョナサンが求めた生き方!大人が読む寓話の教訓

精神世界の追求という寓意!大人が読む寓話の教訓

リチャード・バックが1970年に書いた「かもめのジョナサン」は分かりやすい寓話としてアメリカだけでなく日本を含め、世界中で大ヒットしました。

粗筋を書いただけで、どのような寓話であるかすぐに分かってしまうほど簡単と言えば簡単。

空を飛ぶことは自由であるけれど、その自由に関心を持たず毎日の生活に自らを閉じ込めようとする一般庶民。

やがて群れを飛び出して飛ぶことの研究を行っているジョナサンの前に表れる、飛ぶ自由を知識として手に入れた同人類(または先輩と言ってもいいですね)。 続きを読む 精神世界の追求という寓意!大人が読む寓話の教訓

大人が読む寓話の教訓とは?

結末に教訓を含んでいる物語を寓話と言いますが、イソップ物語のように子供でも分かる寓話から「23分間の奇跡」のようにディストピアを暗示する寓話、さらに寓話であることは分かっているけれど、それが何を暗喩しているのか解釈が異なってくる「ホテル・カリフォルニア」のような寓話まで、いろいろなカテゴリーがあります。

寓話の教訓を探る上で面白いのは、本来、その寓話が語っているであろう、寓意を否定したり別の角度から新しい教訓を得たりするところにあります。 続きを読む 大人が読む寓話の教訓とは?

モノの名前はどうやって決められたのか?言葉と文字の摩訶不思議学

有名な創世神話によると、創造主は最初のヒトであるアダムに対して、あらゆるものに名前を付ける権限を与えています。名前付けは人間に任せていたのです。言葉と文字の摩訶不思議学で、その謎を紹介します。

人類の発祥地は、20万年前のアフリカであるとされています。人類考古学は、発掘された人骨や土器、遺跡などから当時の姿をしだいに明らかにしてきました。では、人類が最初に話した言葉、つまり根源言語とは、どんなものだったのでしょうか? 続きを読む モノの名前はどうやって決められたのか?言葉と文字の摩訶不思議学

宇宙も一つの音、すなわち振動によって始まった!言葉の摩訶不思議学

有名な創世神話によると、創造主は最初のヒトであるアダムに対して、あらゆるものに名前を付ける権限を与えています。名前付けは人間に任せていたのです。

ただし、もともとの「言語」自体は、創造主がヒトに与えたものであると、ほとんどの神話は教えています。ユダヤ教の教えをはじめ、北欧神話などでも「言葉や文字は神からの贈り物」だとしているのです。

新約聖書に出てくる「初めにロゴスありき」という言葉も、また有名な一節です。つまり、神学的には、宇宙には最初から言葉があったということになります。 続きを読む 宇宙も一つの音、すなわち振動によって始まった!言葉の摩訶不思議学

モノのイメージは音のイメージでもある!言葉の摩訶不思議学

大昔の言葉ほど、こうした「音」と「イメージ」の間には密接な関係があったはずです。

たとえば、英語の辞書をざっと見てみても、なにか暗いイメージ、あるいは深く深遠な、そして人知を超えたものといった、重いイメージの単語には、「D」や「G」といった濁音が多く使われています(dark, deep, death, demon, ghost, gloom, god, etc)。

一方、明るく清らかで軽い、あるいは友好的で親しみやすいイメージには、「L」や「P」の音や、清音が使われることが多いようです。 続きを読む モノのイメージは音のイメージでもある!言葉の摩訶不思議学

海の中の母のイメージと母の中の海のイメージ!言葉の摩訶不思議学

「母」と「海」の性質が近いことは、それこそ「漢字」の中にも現れており、そのことから中国人や日本人には理解しやすいことです。またフランス語でも両者の単語は互いに似通っています。フランス語で「母」は「m?re」で、「海」は「mer」というのです。

これらを表現した素晴らしい詩があります。

海よ、

僕らの使う文字では、お前の中に母がいる

そして母よ、

フランス人の言葉ではあなたの中に海がある 続きを読む 海の中の母のイメージと母の中の海のイメージ!言葉の摩訶不思議学