黒澤映画に登場する鬼門の人物

日本の陰陽道が生み出した鬼門は北東の艮(うしとら)方向ですが、この方向を物語に登場させた有名な映画がありました。

黒澤明監督のもっとも脂が乗っていた時代の作品、「用心棒」です。

からっ風の吹く寂れた上州の宿場町に、桑畑三十郎と名乗る浪人がふらりと現れます。

その浪人が宿場の居酒屋主人、権爺から聞いた話によると、ふたつのヤクザ組織が対立して利権争いをしているため、宿場はすっかり寂れたとのこと。

そこで浪人、両方の組織に自分を用心棒として巧みに売り込み、やがて2つの組織を壊滅させるという痛快時代劇でした。

この「用心棒」、多少の風刺はあるものの、それはおまけみたいなものでエンターテイメントに徹していたことが後々の名作として語られる理由のひとつです。

浪人の汚い衣服、女郎の厚化粧、居酒屋の飯、そして浪人が相手を切り倒す時、必ず1人につき2度刃を入れているリアリティの一方で、宿敵にリボルバーの拳銃を与え、しかもスコットランド製のスカーフをさせてキャラクターを際立たせるという、製作陣がのめり込んで面白がって作っていることが伝わってくる映画です。

・・・鬼門の話でした。

この対立するヤクザ勢力の片割れが新田の丑寅という役名。

結果的に対立する清兵衛のヤクザ組織を非情な手で消滅させてしまいますが、その非道ぶりを鬼門である丑寅で表現したことが伝わってきます。

ちなみに新田の丑寅の息子たち、丑寅に合わせています。

頭は弱いけれど腕っぷしの強い丑寅の長男(加東大介が演じましたね)が亥ノ吉、もうひとりの息子、最後に見せ場を残した仲代達矢演じる次男が卯ノ助。

確かに優れた映画は、細部に神々が宿っています。

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