北欧神話!終わらせる者、その名はロキ

北欧神話は横糸が複雑に絡み合って本筋を形成するややこしい部分があるので、アプローチを変え、ロキを中心として時系列を組むと分かりやすいでしょう。

巨人族でありながら、最高神オーディンが巨人族の住むヨトゥンヘイムまで下りていき、ミーミルの泉の水を飲んだ後、なぜかオーディンに同行するロキ。

古ノルド語でロキは「閉ざす者」や「終わらせる者」という意味があります。

不吉な名前ですね。

ロキは父親こそ名も無き巨人でしたが、母親はラフフェイと言い、一節にはアース神族の一員だったという仮説もあります。 続きを読む 北欧神話!終わらせる者、その名はロキ

北欧神話!神々のために働くロキ

巨人族でありながら神々の住むアースガルドへ行ったオーディンの義兄弟、ロキですが、神々にとってロキは格下の巨人族ですから同等に見るはずがありません。

アースガルドに住む神々、ロキにいろいろと仕事を依頼します。

この辺、横糸なのでサラッと流しますね。

たとえばオーディンが持つ槍、グングニルはロキが小人の世界の住人であるドヴェルグ(ドワーフのことですね)の鍛冶屋、イーヴァルディの息子たちに作らせたもので、この槍はけっして的を外すことがなく、しかも敵を貫いた後は自動的に持ち主の元に戻り、さらにこの槍を向けた軍勢は必ず勝利するといわれています。

また農耕の神トールの鎚(打撃用武器)、ミョルニルもロキがドヴェルグに作らせたものです。 続きを読む 北欧神話!神々のために働くロキ

北欧神話!白雪姫と北欧神話

さて、北欧神話の佳境に入る前に、白雪姫の話でもしましょう。

なんの脈絡もないじゃないか、って?

いえいえ、これが実は北欧神話と大きく関係しているんです。

トリビアの泉的に読んでもらえれば幸いです。

白雪姫はアメリカのディズニー版で有名になりましたが、元はグリム童話のひとつの物語に過ぎません。

このグリム童話、ご存知の方も多いと思いますが、グリム兄弟による、つまりドイツ人、さらに言えばゲルマン民族による創作なのです。

これが北欧神話との最初のつながり。 続きを読む 北欧神話!白雪姫と北欧神話

北欧神話!7人の小人の正体

白雪姫と北欧神話のつながり、続きです。

といっても勘のいい方ならもうお分かりのことでしょうけれど。

さて、白雪姫は実母(継母)が差し向けた殺し屋によって森の中に追い込まれますが、殺し屋は白雪姫を不憫に思い、見逃します。

実母(継母)は白雪姫を殺した証として心臓(肝臓)を取ってこい、なんて残酷なことを言いますが、殺し屋はイノシシの心臓(肝臓)でごまかしちゃう。

森の中で気を失っていた白雪姫を助けるのが7人の小人ですね。

ここで7人の小人の姿を思い出しましょう。

人間よりも背丈が短く、手は地面に着くほど長く、皮膚は老人のようにシワがあり、長いひげをたくわえています。 続きを読む 北欧神話!7人の小人の正体

北欧神話!ロキの子供たち

北欧神話と白雪姫のつながりを閑話休題としてまとめたところで、いよいよ北欧神話、佳境に入ります。

最高神オーディンが知識を求めて巨人族が住むミーミルの泉まで出かけた時、その帰りにはなぜか義兄弟の契まで結んで、オーディンと一緒に神々の住むアースガルドまで行った巨人族のロキ。

最初は神々の下僕のごとく、さまざまな押し付けられた仕事をさばく手腕と頭脳が認められて神々と親交を深めていきます。

北欧神話最強の神と言われるトールと連れ立って巨人族のヨトゥンヘイムへ冒険に行ったりもし、さらにトールが窮地に立った時、輝点を聞かせて助けたりもしています。

そのロキがなぜ、神々と巨人族の最終戦争の引き金になるほどの存在となったのでしょう? 続きを読む 北欧神話!ロキの子供たち

北欧神話!ロキと神々の最初の厄になった3人の子供

では、ロキと神々の最初の厄であった巨人族アングルボザとの間に生まれた3人の子供について説明しましょう。

その前に、あっちこっちに子供を産ませて節操のない奴だ、などという今風の道徳観念は持たないように。

神話の世界というのはそういうもので、ギリシャ神話のゼウスにしても日本神話の大国主大神にしても、ロキとは比べ物にならないくらいの無節操ぶりを見せていますから。

ロキの3人の子供、正確には3人と呼べません。

なにしろ、1番目は狼であるフェンリル、2番目は毒蛇のヨルムンガルド、3番目は上半身こそ可愛い女性であったけれど下半身は腐敗していたというヘル。 続きを読む 北欧神話!ロキと神々の最初の厄になった3人の子供

北欧神話!パルドルに向けられた恨み

3人の子供たちに対する最高神オーディンや他の神々たちの仕打ちによって、ロキは神々と対抗する悪神へと変わっていきます。

ロキの恨みの標的は最高神オーディンとその妻、女神フリッグの間に生まれた光の神、パルドルに向けられます。

自分の味わった苦しみと同じ苦しみを最高神オーディンに与えると画策したわけですね。

その企みを予感したのか、パルドルは自分が誰かに殺されるという悪夢を見ます。

その話をパルドルから聞いた最高神オーディンや女神フリッグは慌てて対策を取ります。

なにしろパルドル、オーディンとフリッグにとって目に入れても痛くないほどの可愛い長兄、しかもアースガルドの人気者とあっては死なせるわけにいきません。 続きを読む 北欧神話!パルドルに向けられた恨み

北欧神話!ヤドリギの矢

前回、母親フリッグによって不死身となったパルドルにも弱点、つまりヤドリギだけはパルドルを傷つけることができるところまで紹介しました。

では、その続きです。

母親フリッグからパルドルの弱点を聞き出したロキはさっそくヤドリギを手に入れ、矢を作ります。

そしてパルドルを中心とした宴に紛れ込み、パルドルの弟、ヘズと出会います。

ヘズは神々がパルドルの不死身を確かめている最中にも傍らでひっそりと佇んでいました。

というのも、ヘズは盲目のため、兄のパルドルの位置が分からず、弓を射ることも刀で斬りかかることもできなかったからです。 続きを読む 北欧神話!ヤドリギの矢

北欧神話!涙を流さなかった老婆の正体

ロキの奸計によって最愛の息子であり神々のスターだったパルドルを失った母親のフリッグ。

しかしフリッグは女神様です。

かなりのことが可能です。

フリッグは死者の国、ニヴルヘイムへ急ぎ、パルドルが死者の国へ入る前に連れ戻せば蘇ると考え、他の神々に相談したところ、俊敏の神といわれるヘルモーズがその大役を引き受けます。

ヘルモーズは最高神オーディンの愛馬、8本の脚を持つスレイプニル(じつはこの神馬もロキが牝馬に化けた産んだ子供で、その仔馬をオーディンが取っちゃった、というエピソードがあるのですが)を駆って死者の国、ニヴルヘイムへ急ぎます。 続きを読む 北欧神話!涙を流さなかった老婆の正体

北欧神話!神々たちの復讐

長兄パルドルに続き、盲目の弟ヘズも失った(というか、最高神オーディンはヘズを許さず、妻の女神フリッグではなく他の女神リンドを孕ませてヴァーリという腹違いの弟を作り、そのヴァーリにヘズを殺させたのですが)最高神オーディンはロキに、とても最高神とは思えない復讐を行います。

まずロキを捕らえて洞窟に幽閉するとロキの(普通の息子)ナリを連れてきます。ロキの目の前でもう一人の弟、ナルヴィ(「スノッリのエッダ」ではヴァーリという突然に登場してきた弟になっていますが)を狼に変えると、狼は兄、ナリを真っ二つに切り裂き、神々はナリの腸を使ってロキを石に縛りつけちゃうんですね。

もう、目を覆いたくなるほどの残酷さ。

自分の息子を殺され、しかもその腸で縛りつけられるロキの心情、計り知れないものがあります。 続きを読む 北欧神話!神々たちの復讐

北欧神話!子を失った母親シギュンの愛

洞窟に幽閉され、息子ナリの腸で固く縛られているロキの頭上で巨人族の女性が冷酷な笑みを浮かべています。

彼女の名前はスカジ。

かつて、ロキが発端となって神々に殺された巨人族スィアチの娘。

その父の恨みを今、ロキにぶつけようとしています。

彼女の手には毒蛇が握られ、その毒が滴り落ちてロキの顔にかかるように細工をしていました。

やがてロキの顔に滴り落ちる毒蛇の毒、そしてロキの悲鳴。

永遠に続く苦痛をロキに与えたスカジは満足して洞窟を去ります。 続きを読む 北欧神話!子を失った母親シギュンの愛

北欧神話!神々の黄昏

巫女の予言通り、9つの世界に三度の大いなる冬が訪れます。

フィンブルの冬と呼ばれ、その時期は夏が訪れず、空は厚い雲で覆われ、あらゆる方向から吹きつける雪はやがて戦乱を起こし、人々のモラルは低下、生き物は死に絶え始めます。

北欧神話における世界の終わり、ラグナロクの前兆です。

日本では神々の黄昏という訳が定着していますね。

太陽と月は消え、星々は天から落ち、大地が震えだせば、それはラグナロクの始まり。

全ての封印が解けます。

ロキの子供だった巨狼フェンリルの鎖は外れ、海からは追放されていた毒蛇ヨルムンガンドが表れ、死者の国ニヴルヘイムの番犬、ガルムは神々の住むアースガルドに向かって走り出します。 続きを読む 北欧神話!神々の黄昏

猫とツキと干支の性格

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