「バブル景気の足音」カテゴリーアーカイブ

一般消費者まで走った絵画投資

1989年、富士銀行とセゾングループの信販会社クレセゾンは絵画担保ローンを始めます。

これは絵画購入用ともいえる融資で、融資額は絵画流通価格の8割と定められましたが、その流通価格を判断するのは同じセゾングループの西武百貨店という、まさに価格なんてあってないようなもののローンシステムでした。

本来は絵画商やコレクターが利用するローンシステムですが、これに飛びついたのがバブル景気に浮かれる一般消費者。

すでに絵画は投資目的として十分な価値があるという風潮が世の中に蔓延していたので、高騰する土地を持たないサラリーマンを始めとして一般消費者がこのローンを利用します。

しかしコレクションではなく投資目的なので絵画の知識なんてありません。 続きを読む 一般消費者まで走った絵画投資

絵画を使ったマネーロンダリング

バブル景気の時は一般消費者まで巻き込んだ絵画投資。

仕組みを見ると画商が儲かっているように思えますが、じつは画廊が儲けたオカネ、別のところに流れていきます。

政治家ですね。

仕組みはとても簡単。

たいした価値のない絵画を懇意の画廊からブローカーが10億円で購入します。

ブローカーはその絵画を政治家に贈答、政治家はブローカーが予め政治家へ指定した画廊へ売却、画廊は手数料を何%か受け取り、絵画を購入します。

めでたく政治家の懐には政治資金規正法をくぐり抜けた政治献金が入るというワケ。 続きを読む 絵画を使ったマネーロンダリング

海外に慣れていなかった日本人の恥ずかしい話

話はちょっと脇道に逸れて。

最近、中国人旅行客のマナーの悪さがネット上を賑わせています。

若い人がそれらの事件に対して嘲笑するのは個人の勝手ですが、じつは日本人もバブル景気で海外に多く旅行者が出かけた時は、他の意味で随分と恥ずかしいことをしてきたのです。

当時の日本、まだまだ海外旅行に慣れていないけれどオカネだけはたくさん持っています。

今の中国人旅行者と同じですね。

でも1人や友達とプランニングして行くことはできませんから、旅行会社に一任してツアーで行くところまで同じ。

飛行機の中だろうとホテルであろうと、ツアーで行っている限りは日本国内です。 続きを読む 海外に慣れていなかった日本人の恥ずかしい話

メガネに出っ歯に胸へぶら下げたカメラ

時はさかのぼって20~30年前のバブル景気前後、日本人旅行者の話。

日本には「旅の恥はかき捨て」なんて便利な諺があります。

遠くに行けば知人もいないし、長く留まることもないから恥ずかしいことをしてもその場限りのこと、という意味ですね。

でもこれは日本国内の文化。

違う文化圏では通用しませんし、そも、恥ずかしいことをわざわざする必要もありません。

最近はほとんど見なくなりましたが、バブル景気前後の頃の先進国風刺画を見ると、日本人は必ずメガネをして出っ歯で、首からカメラをぶら下げていました。 続きを読む メガネに出っ歯に胸へぶら下げたカメラ

世界へ投資した日本人の恥ずかしい話

日本が海外でかいた恥、日本人旅行者のレベルではありません。

ロックフェラーセンターは三菱地所によって89年に買収されましたが、その後、バブル景気崩壊で莫大な赤字を出して1995年に運営会社は破産、所有していた14棟のビルのうち12棟を売却、現在は2棟を残すのみとなっています。

アメリカでもトップ10に入る名ゴルフコース、ペブルビーチゴルフリンクスを1300億円で買収した不動産会社インターナショナルイーシーはバブル崩壊後に赤字転落、結局、約1000億円ですぐに手放し、本来の不動産業に戻りましたが借り入れ負担が業務を圧迫、2014年に自己破産を申請しました。

ホテルニュージャパンの火災で表舞台に引き出された乗っ取り屋の故・横井英樹氏になるとさらにひどく、庶子である横井キイ子を代理人として4年間に9つのフランスの城を買い占めます。

その中にはフランスの歴史的建造物であるロドニー城も含まれていました。 続きを読む 世界へ投資した日本人の恥ずかしい話

オカネの使い方を考えて夢を見ましょう

バブル景気がもたらした正の遺産、それは紛れもなく世界の扉を開き、文化の流入を果たしたことでしょう。

ではバブル景気の教訓はなんでしょうか?

人間、持ち慣れない大金を持つとロクなことにならない、とか、おいしいことを言うやつには気をつけろ、とか、上がったものは必ず下がる、とか、まあ、経験者の数だけ教訓はあると思いますが、共通項として言えるのはオカネの使い方を失敗して覚えた、ということでしょう。

「開運!なんでも鑑定団」で鋭い目利きと「いい仕事していますね」とか「大事にしてください」の名セリフで有名な中島誠之助さんは今でこそ鑑定士として一流ですが、若い頃はよく偽物をつかまされた、と言います。

バブル景気の失敗は今、生かされているといえるでしょう。

企業は地道なメセナ活動を続け、海外の企業買収は着実に成功の道を歩んでいます。 続きを読む オカネの使い方を考えて夢を見ましょう