その後のノラ猫さんとの関係

ノラ猫「くろさん」と妙な距離の関係が出来上がって、半年ほどたったときでしょうか。

ベランダのえさの置き場にしか座らなかった「くろさん」が、ごろんと横になって、リラックスしたように体をなめて、お手入れしているんですよ。

私びっくりしてしまって。

それまで「くろさん」と、いい関係は保てていましたが、人間に対する警戒心は解いたことがない、いえ、それを解いた、と言う感じがまったく感じられなかったんです。

それが、今日は足を高々と上げて、ぺろぺろなめているじゃありませんか。

「くろさん、いらっしゃい」と恐る恐る声をかけてみると、「んにゃ」との答え。

ノラ猫さんとは、他のところでも声をかけ、結構親しみある子もいたのですが、この時ほど嬉しかったことはないですね。

人間嫌いな「くろさん」が、あそこんちのベランダに入っているみたい、と言う近所の噂だけでも嬉しかったのに。

ノラ猫さんとの関係に自信をもちました。

ノラ猫さんとの関係は、つかず、しつこくせず、そのまま自然な感じで、触るとか抱く、と言うことじゃなく、精神的なつながりを得られる貴重な世界、と言うことを知ったのでした。

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