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キリスト教が地動説を容認した理由

キリスト教が天動説を放棄、地動説を承認したのは意外に新しく1992年のことです。

すでに人類が月に降り立ってから33年後、ガリレオの死から359年後のことで、それもガリレオの異端決議を解く際の補足という形で表明されました。

ついでに言えば進化論に対しても1996年にローマのカトリック法王が認める声明を出しています。

といっても「神は進化という手段を用いて創造という御業を行われた」という注釈がつくので、生物単体における遺伝的進化までは認めたわけではないのですが。 続きを読む キリスト教が地動説を容認した理由

科学革命を起こした4人の科学者たち

12世紀ルネッサンスで復興した占星術は、その後、占星術を極めるほどに天体観測が唯物的になり、運勢を決める要素という神秘的な存在ではなくなっていくという皮肉な結果を残します。

コペルニクスもケプラーも宗派は違えど熱心なキリスト教信者であり、占星術師でしたが、彼らが唱えた地動説を確固たる地位に押し上げたガリレオやニュートンは占星術師ではなく、純粋な科学者でした。

科学の発展は以後、占星術と天文学を結びつけることはなく、占星術は他の八卦や風水などと共に「占い」という範疇にまで縮小していきます。

反対にコペルニクス、ケプラー、ガリレオ、そしてニュートンは中世における科学開拓者として名を残し、現代においてもその偉業を讃えて彼らの名前はさまざまな機器に使われています。 続きを読む 科学革命を起こした4人の科学者たち

ニュートンの万有引力が地動説を確立させる

ケプラーの法則とは、

1.惑星は太陽を焦点として楕円軌道を描く(第一法則)
2.惑星は太陽に近い軌道では惑星は速くなり、遠いところでは遅くなる(第二法則)
3.惑星が太陽を1周する時間の2乗は惑星と太陽の平均距離の3乗に比例する(第三法則) です。

当時、天文学者や占星術師の間でケプラーの法則は広く知られていましたが、なぜ惑星がこのような動きをするのか、誰にも説明がつかず、地動説を裏付ける発見をしたガリレオさえも根本的な解決理論を見つけることができませんでした。

これを解明したのがアイザック・ニュートンの万有引力です。 続きを読む ニュートンの万有引力が地動説を確立させる

それでも残る地動説の矛盾

ガリレオの発見は地動説の矛盾を正当化させていきます。

天動説派は地球が動くなら月は取り残されてしまうだろう、という疑問に対して木星の周囲を回る衛星の証拠を示し、金星が太陽の惑星で公転しているからこそ、月のように満ち欠けし、楕円軌道を描いているから目視の大きさが変わるのだ、と立証しました。

それでもなお、天動説派は地球が動くならば空に放り投げた石が真下に落ちるのか、空を飛ぶ鳥がなぜ取り残されないのか、なぜ地球は自転し続けるのか?という疑問を地動説派に投げかけます。

ガリレオは慣性の法則を実験で示しますが、その現象がなぜ起きるのか?という疑問には答えることができませんでした。 続きを読む それでも残る地動説の矛盾

望遠鏡を多用して地動説に説得力を持たせたガリレオ

科学者であり、占星術師であり、そして熱心なキリスト教信者であったコペルニクスとケプラーによって天動説が地動説に覆されたのは歴史のアイロニーと言うしかありませんが、この地動説を揺るぎない存在としたのがイタリアのガリレオ・ガリレイです。

彼は哲学者であり、物理学者であり、天文学者であり、熱心なカトリック信者でしたが占星術師ではありませんでした。

ガリレオもケプラー同様、コペルニクスの地動説を擁護していましたが惑星の円周期という固定観念から抜け出せなかったために研究が停滞していました。

しかしケプラーが惑星の運行法則を発見したことにより、ケプラーに支持の書簡を送るなど自らの研究に拍車をかけます。 続きを読む 望遠鏡を多用して地動説に説得力を持たせたガリレオ