道徳的ではない寓話のディストピア!大人が読む寓話の教訓

ジェームズ・クラベルの短編小説、「The Children’s Story」は日本でも「23分間の奇跡」というタイトルで1991年のフジテレビ「世にも奇妙な物語 冬の特別編」の中の1本として放映されました。

賀来千香子さんが女教師役ですね。

日本でクーデターが起きて憲法が改正されたという設定、国旗を切り裂く代わりに「平等・自由・平和」と書かれた額縁を屋外に捨てる、あるいはラストでジョニー君に相当する生徒が先生から煽てられ、他の生徒からも持ち上げられて学級委員長になるなど、若干の違いはありますが、根底の部分は同じです。

これ、それこそ対岸の火事でもなければ空想のディストピア(ユートピア:理想郷の反対ですね)でもなく、まさしく第二次大戦に突入する前の日本の状況で、隣組制度の隣組長といえば戦争中は滅私奉公を唱えて思想統制や相互監視をさせながら、戦争が終結すると民主主義の先鋒者に大化けするのを歴史的見地から経験しているわけです。

したがって日本人がこの物語を見て感じるのは歴史を繰り返してはいけない、という寓意ですが、物語自体は寓意そのものがけっして道徳的ではない、寓意は時に正しい主張すら飲み込んで変化させてしまうことがある、と説いている点が興味不快ところです。

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