音は形をつくる、形はイメージをつくる!言葉の摩訶不思議学

先ほどは「音とイメージの関係」について触れたのですが、ここでは「音とイメージと、そして形の関係」について述べています。そういえば、「蛇の音」である「S」は、そのアルファベットの形もどことなく「蛇の姿」に見えるではないですか。

子音文字の形の場合は、それぞれの言語で多様なバリエーションがありますが、母音のアルファベットの形に目を向けますと、少なからずその形に共通点が浮かび上がってきます。

たとえば「イ(I)」の母音の場合、やはりその音が「イイイイイ」と、どことなく一本調子で長く引き伸ばされるような感じを表現した「細長い一本線」のイメージがあります。英語の「I」の形は、日本語や韓国語でも共通して見られるのです。さらにヒエログリフで記す「I」の音もやはり上下に長い棒状(植物の葦)の象形文字となるのです。

また、「オオ(O)」という母音は、やはり英語の「O」のような丸い形のイメージを与えているように思えます。同時に、広大で悠長な感じも、この「O」の音と形に共通して見られます。日本語でも「おお」の音は「大」の意味として使われますので、「おおきい」「おおらか」「おおっぴろげ」などと表現されており、しかもそれを形として表現する場合には、「丸」つまり「Oの文字」が一番相応しいかと思われるのです。

英語でも、「おおらか(オープン)」や「広々とした場所」のことを「OPEN」といい、また「卵形」の意味で「OVAL」などといいます。このように、「O」(オー)の語感は大きく、また均等に広がっていく感じをその字形とともに表しているのです。

たしかに、ある「音」はその音に応じた「イメージ上の形状」をつくります。ヒトは無意識にもそれを感じて、言語の文字を作る際に反映させていたのではないでしょうか?だからこそ、異なる言語間でも、同じ母音の音には、同じような文字の形が見られるのだと思うしだいです。

それを裏付けるような、有名な言語学的な実験があります。次に示す2つの図(【図1】参照)に、それぞれ「ブーバ」か「キキ」の、どちらかの名前を与えるとしたら、どちらが「ブーバ」で、どちらが「キキ」となるか(どちらがその名前に相応しいか?)というものです。どうぞ、一つやってみてください。

さて、その結果は、多種多様な言語族を対象にした、多くの民族の間においても、常に、同じ選択がなされる傾向にある、ということがわかったといいます。

それぞれの名前がもつ一種独特な音の響きは、やはりそれに合う形をもっているのでしょう。つまり、「目から入る『形』のイメージ」と「耳から入る『音』のイメージ」の間には、明らかに親和度の違いがあるのです。(ちなみに、上の図では、左が「キキ」、右が「ブーバ」というのが最も多い答えになるものと思います)

もし、形と音の親和性が強ければ、私たちはその両者に共通感覚(イメージ)をもちますが、親和性が弱いか、あるいはイメージがかけ離れていると、両者に違和感を覚えるということなのです。言語の文字は、このようにして、ヒトの無意識的な感受性によっても作られていったのでしょう。そうして、「ある音」は「あるシンボル」へと結び付けられたことと思います。

ところで、こうした音と形の関係は、単にヒトの主観的な意識レベルのみで語られるものではなく、もっと客観的な、あるいは物理学的な背景をもつことも考えられます。「音→感覚→形」は心理的なものだけではなく、物理的にも実際に形をつくるのです。

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