ワーグナーと北欧神話の関係

北欧神話はゲルマン民族の神話、と前節で書きましたが、正確に言うとゲルマン民族のなかでもノース人に伝わる民族伝承です。

ノース人、文字通り北方からやってきた人々を意味する言葉で、古代スカンジナビアに先住していた民族を表しており、厳密にはスウェーデン人と分けるそうですが、これは日本でも古代縄文人と弥生人を分類するくらい、あるいはそれ以上難しい話になるので割愛しましょう。

ここでは便宜上、ゲルマン民族の根底にある北欧神話、と定義します。

というのも、ゲルマン民族であるドイツにも北欧神話が色濃く残っているからです。

たとえばヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー。

楽劇王と別名を持つほどロマン派歌劇の頂点を極めた作曲家で、19世紀後半のローロッパ文化に多大な影響を及ぼしたドイツ人です。

「さまよえるオランダ人」や「ニュルンベルグのマイスタージンガー」、「トリスタンとイゾルデ」など、悲劇から喜劇まで幅広いジャンルの作品を残していますが、そのなかで大長編なのが「ニーベルングの指環」です。

上演には約15時間を要する長大な作品で4部作となっており、ワーグナーは26年かけて完成させました。

ジョージ・ルーカスの「スターウォーズ」も真っ青な長さですが、じつは「ニーベルングの指環」、北欧神話を元にした歌劇なのです。

関連記事(一部広告含む):