「北欧神話」カテゴリーアーカイブ

北欧神話!日本のホテル朝食といえばバイキング

ワールドワイドに展開するホテルや日本のシティホテルの朝食といえば、バイキング形式が定番となっています。

前菜から主菜、パンもバターもジャムもあって、ソフトドリンクが並び、フルーツやデザートまで用意(日本ではこれにご飯や味噌汁、海苔や納豆まで加わります)、すべて食べ放題、というわけですね。

この食べ放題形式、ホテル側の都合で大量の人数を一度にこなすには最適の料理方法のため、最近ではバイキング料理とまで名前がつけられ、ファミリーレストランや焼肉店などにも見られるようになりました。

横浜の中華街に至っては、大規模店舗になるほど食べ放題形式となり人気を集めています。

横浜在住で中華街へ頻繁に足を運んでいた人は、さぞ嘆いていることでしょう。 続きを読む 北欧神話!日本のホテル朝食といえばバイキング

北欧神話!食べ放題がバイキングになった理由

ホテルの朝食から始まったバイキング料理という食べ放題の形式、それほど古くなく、1957年、当時の帝国ホテル支配人がデンマークに行った時にさかのぼります。

この時、スカンジナビア料理であるスモーガスボードに出会ったことにより、当時、パリで修行中だったその後の帝国ホテルの総料理長、村上信夫氏に提案したことから食べ放題形式の料理が生まれたといいます。

スモーガスボードの名前をそのまま使わなかったのは、その名称が日本人に取って馴染みがないこと、インパクトがないことが理由です。

当時、帝国ホテルの隣、日比谷や映画劇場で上映していた「バイキング」のワンシーンで、さまざまな料理を豪快に海賊たちが食べていることから、スモーガスボードのスタイルにバイキングとネーミングしました。 続きを読む 北欧神話!食べ放題がバイキングになった理由

北欧神話!バイキングを生み出したゲルマン民族

北欧神話の話をするというのに、ちっとも神話が出てこないで、メシの話ばっかりしていると怒らず、もう少し前振りにおつきあいを。

ヨーロッパの人種を一括りにすることはアジア人種から見ると大変に難しいのですが(もちろんアジア人種もじつは細かく分かれているのはご承知の通り)、ここでは便宜上、大雑把に分けてしまいましょう。

ひとつはラテン系、ひとつはスラブ系、ひとつはゲルマン系で、帝国ホテルの支配人が出会ったスモーガスボードはデンマーク、つまりゲルマン系の伝統的な料理なのです。

このゲルマン系、現在のドイツ北部やデンマーク、スカンジナビア北部に居住していたインド・ヨーロッパ語族でのちにバイキングと呼ばれる海洋民族を生み出した種族も含まれているのです。

つまり、北欧神話の根源を持つ民族ですね。 続きを読む 北欧神話!バイキングを生み出したゲルマン民族

ワーグナーと北欧神話の関係

北欧神話はゲルマン民族の神話、と前節で書きましたが、正確に言うとゲルマン民族のなかでもノース人に伝わる民族伝承です。

ノース人、文字通り北方からやってきた人々を意味する言葉で、古代スカンジナビアに先住していた民族を表しており、厳密にはスウェーデン人と分けるそうですが、これは日本でも古代縄文人と弥生人を分類するくらい、あるいはそれ以上難しい話になるので割愛しましょう。

ここでは便宜上、ゲルマン民族の根底にある北欧神話、と定義します。

というのも、ゲルマン民族であるドイツにも北欧神話が色濃く残っているからです。

たとえばヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー。

楽劇王と別名を持つほどロマン派歌劇の頂点を極めた作曲家で、19世紀後半のローロッパ文化に多大な影響を及ぼしたドイツ人です。 続きを読む ワーグナーと北欧神話の関係

北欧神話を土台にした物語

19世紀の偉大な作曲家、リヒャルト・ワーグナーが生み出した「ニーベルングの指輪」は北欧神話をモチーフにしています。

ここでは「ニーベルングの指環」について、詳しい解説は行いません。

なにせ上演時間は約15時間という長編のため、当時、ワーグナーのパトロンだったルートヴィヒ2世は出来上がった作品から上演しろと催促したくらいですから。

黒澤明監督が「七人の侍」を製作していた時、配給元である東宝の幹部がなかなか出来ない作品に対して催促、黒澤明監督は撮れているフィルムの中から予告編を製作したところ、幹部は黙って黒澤明監督の言うままになってしまった、という逸話を思い出します。

同じく黒澤明監督が「白痴」を撮り終えた後、東宝幹部があまりにも上演時間が長すぎることから編集で短くしろと催促、カット部分が多すぎることに「これ以上カットするならフィルムを縦に切れ!」と黒澤明監督が言ったことも思い出されます。 続きを読む 北欧神話を土台にした物語

映画に出てくる北欧神話のイメージ

ドイツのワーグナーによる「ニーベルングの指環」も、イギリスのJ・R・R・トールキンによる「指輪物語」も、どちらも北欧神話をモチーフにしており、両者とも民族的には(根源をたどればという注釈つきで)ゲルマン系になります。

ただし、「指輪物語」が「ニーベルングの指環」からインスパイアされたというのは正しくありません。

トールキンは作家であると同時に文献学者、語学研究家であり、古代アングロサクソン語の研究も行っていたので、当然、北欧神話に対する造詣も深かったことから、物語の類似性は必然と考える方が妥当でしょう。

「指輪物語」も「ニーベルングの指環」同様に長編であり、映画となった「ロード・オブ・ザ・リング」三部作は一部にしか過ぎず、案の定、「ホビット 思いがけない冒険」が製作されました。 続きを読む 映画に出てくる北欧神話のイメージ

北欧神話!神話の共通点

「指輪物語」に出てくるドワーフやエルフが北欧神話の民族であったことに対しては後述するとして、そろそろ北欧神話の本題に向かいましょう。

現在から神の概念をたどると、どうしてもイエス・キリストやモーセといった預言者からの一神教に行き当たりますし、仏教においてもブッダという超越した存在があり、それぞれは人として生きる道を説いていますが、神話の世界とは言ってみれば人間が生きる道以前、自然の畏怖に対して人間はどのように対処すべきか、つまり人間が生きていくためにはどうすべきか、という原始的な信仰が含まれています。

したがって、どの神話を取っても国づくりから始まり、人間に自然の恵みを与える神や人間の生活を脅かす自然の神がいて、それぞれが大掛かりな戦争を行うという、なんともスペクタクルで人間臭い神様が多く登場してきます。

日本の神話然り、ギリシャ神話然り、当然、北欧神話も例外ではありません。 続きを読む 北欧神話!神話の共通点

北欧神話最初の巨人、ユミルの誕生

北欧神話における世界の始まりはギンヌンガガプという巨大で空虚な裂け目です。

ギンヌンガガプに限らず、北欧神話もギリシャ神話同様、いろいろと呼び名があるのですが、一応、その中から多数派と見られるポピュラーな呼び名を採用します。

このギンヌンガガプのおよそ北側という曖昧な場所に氷の国のニヴルヘイムがあり、およそ南側という同じく曖昧な場所に灼熱の国、ムスペルヘイムがあって、ギンヌンガガプにはニヴルヘイムからの凍りつくような冷気とムスペルヘイムの燃え尽くすような熱気が吹きつけていました。

この冷気と熱気がぶつかって霜が発生、その霜から垂れた滴が毒気となり、この毒気から北欧神話最初の巨人、ユミルが誕生します。

ユミルと同時に牝牛のアウズンブラが生まれ、ユミルはアウズンブラの乳を飲みながらユミルの身体(主に足)から次々に巨人を生み出していきます。 続きを読む 北欧神話最初の巨人、ユミルの誕生

北欧神話の世界から生まれた人間型神

北欧神話の世界、今のところギンヌンガガプという空虚な割れ目から生まれた巨人ユミルと、そのユミルから生まれたヨトゥンと呼ばれる巨人たち、牝牛アウズンブラの舐めた塩の氷から生まれた人間型神が存在しています。

巨人と交わったボルを父に持つ三神、オーディンとヴィリ、ヴェーはしかし、巨人に対して敵愾心を持っていることから、その産みの親であるユミルの殺害を実行します。

考えてみれば三神の祖父、ブーリは塩の氷から生まれたのであってユミルから生まれた巨人と交わったとしても、三神にしてみれば血統的に見れば遠縁には当たりますが直系というわけではありません。

なぜ敵愾心を持ったのかというと、これについては詳しく伝承されていませんが、巨人が無秩序であったことに対して人間型神の三神が秩序を好むということが理由と推測されています。 続きを読む 北欧神話の世界から生まれた人間型神

北欧神話!9つの世界の始まり

北欧神話の世界で最初の巨人、ユミルを滅ぼして天と地を創り上げた人間型神オーディンは、その世界の住人、人間を海岸に流れ着いた2本の木から創ります。

トネリコの木からは男を、ニレの木からは女を。

これが北欧神話で最初に登場した人類で、名前はアスクとエムブラといいます。

ちょっとアダムとイブに似ていますね。

旧約聖書でも同じく天地創造の後にアダムとイブが登場、旧約聖書ではアダムとイブのその後が重要となっていますが、北欧神話では大した意味を持たず、オーディンは創りあげた大地に人間を住まわせます。

これが北欧神話の世界観を形成している「9つの世界」のうちのひとつ、ミッドガルド。 続きを読む 北欧神話!9つの世界の始まり

北欧神話!世界を支えるユグドラシル

北欧神話を形成する「9つの世界」はユグドラシルという巨木に囲まれており、三層に分かれています。

この巨木に支えられている最上層には当然、オーディンを始めとするアース神族に、同じく人間型神のヴァン族、一節にはこれに半神である光の妖精、エルフが住むアールヴヘイムが加わります。

第二層には人間の住むミッドガルドに小人の世界のスヴァルトアールヴヘイムや巨人族のヨトゥンヘイムなどがあり、最下層には北欧神話の始まりからあった炎の国ムスペルヘイムや氷の国ニヴルヘイムがあります。

このニヴルヘイム、一節には地獄や死者の国と表現され、名称もヘルヘイムと呼ばれることがあります。

ユグドラシルはその大きさから世界樹、あるいは宇宙樹とも呼ばれ、9つの世界すべてに根を張っており、その根には3つの魔法の泉があります。 続きを読む 北欧神話!世界を支えるユグドラシル

北欧神話の陰の主役ロキ登場

北欧神話は9つの世界による三層構造、神々と巨人族の対決という図式で成立しています。

最高神となったオーディン率いるアース神族とヴァン神族による小競り合いみたいな戦いもありますが、これは本筋による横糸、味付けみたいなもので大した意味はありません。

また最高神オーディンの冒険譚とかもありますが、複雑に絡んでいるにせよ、これも横糸でしょう。

北欧神話は誕生と同時に滅亡が描かれている、世界でも珍しい神話なのです。

その滅亡とは人間が住むミッドガルドの外に作られたヨトゥンヘイムに住む巨人族が神々を襲うというもの。 続きを読む 北欧神話の陰の主役ロキ登場