豪徳寺の招き猫は武士の作法

確かに招き猫は身体に斑点のある三毛猫が原型、そう考えると井伊直孝とゆかりのあった豪徳寺の猫が三毛猫であることは合点がいくのですが、そうすると、なぜ「ひこにゃん」が白猫なのか、合点がいかなくなります…といった些細なことはひとまず置いといて。

豪徳寺の境内にある招猫堂には、お腹に大黒様が描かれた立派な招き猫を始め、大小さまざまな招き猫が祀られています。

そして、それらすべての招き猫は立ち姿で右前足を耳のそばに掲げています。

後述しますが、招き猫には現在、さまざまなポーズと色があり、それぞれによって招福する運気が異なっていますが、この豪徳寺の招き猫ポーズはそれらとまったく無縁。

右手を掲げているのは武士として敵意がないことを示すポーズですね。

武士は刀を左側に差し、着座する時は鞘ごと腰から抜いて右側に置きます。

つまり刀を抜く時は必ず右手を使うわけなので、右手が使えない状態にすることは相手に対する敵意がない、という証にもなるのです。

さらに、一般的な招き猫は小判を持っていたり、ぶらさげていたりするものですが、豪徳寺の招き猫は首に鈴をつけているだけです。

招き猫は機会を与えてくれるけれど、結果までついてくるわけではない、機会を活かせるかは本人次第、という考え方から、この形が生まれました。

潔いですね。

井伊家の菩提寺となっている手前、武士の作法をきちんと守っている招き猫です。

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